2021年にホンダからヴェゼル、トヨタからはカローラクロスが発売された。
当時、コンパクトクラスSUVを探していた私は、ヤリスクロスやライズ等も検討したが、結局のところヴェゼル、カローラクロスの二択となった。
そして迷いに迷い、ヴェゼルを購入したわけだが、この双方でどのような比較をし、そしてヴェゼル購入の決断に至ったのか、その理由をまとめたいと思う。
似ている両者
そもそも、この2車種に絞った理由から述べていく。
前述のように、大人気ヤリスクロスやライズという選択肢も当然あった。
これらはコンパクトクラスSUVとされているが、その寸法は以下の通り。
車名 | 全長[mm] | 全幅[mm] | 全高[mm] |
ヴェゼル | 4,330 | 1,790 | 1,580-1,590 |
カローラクロス | 4,490 | 1,825 | 1,620 |
ヤリスクロス | 4,180-4,200 | 1,765 | 1,580-1,590 |
ライズ | 3,995 | 1,695 | 1,620 |
※上記表は以下記事より抜粋。
表から見てわかるように、やはりライズはサイズがコンパクトすぎる点が気になり、候補から外した。
そしてヤリスクロスについては、ボディサイズは及第点であるものの、後席の狭さが気になりこれまた候補から外れることとなった。
カローラクロスは、コンパクトクラスと言いつつ、表から見てわかるようにボディサイズは他車同クラスよりやや大きい点が魅力的であった。
ヴェゼルは内外装の質感の高さが第一に気に入った点である。
価格に関しては、カローラクロスがハイブリッド上位グレードZで299万円、ヴェゼルも同等のグレードで289万円と、ほぼ差が無かった。
※上記は2021年当時の価格。現価格は以下記事の通り。
ボディサイズの面でも価格の面でも、やはり両者は十分比較対象になりうる車種だと考えていた。
結論から言ってしまえば表題にあるようにヴェゼルを選択したわけだが、次項からその理由について述べていく。
理由① 外装のデザイン
大前提として、やはり車というものは見た目が非常に重要な項目であるというのが私個人の考えとしてある。
その点において、カローラクロスもSUVらしいデザインで決して悪くは無いのだが、デザイン(の好み)という点ではヴェゼルが上回った。
やはりあの同色グリルが醸し出す近代的なデザインと、横から見たときの流麗なデザイン、そして一文字を基調としたテールランプのリアデザイン、いずれも好みでしかなかった。
理由② 外装の質感
前述したデザインは、各人の好みに左右される為100%主観的な意見になるが、本項の”質感”については客観的に見てもヴェゼルが上回ると考えている。
※あくまでZグレード同士の比較
というのも、ヴェゼルZグレードの外装の特徴として、フェンダーアーチモール等の樹脂部がピアノブラック塗装されている点が挙げられる。
この点は非常に大きい差であると考えている。
本記事で比較対象に挙げているカローラクロス、ヤリスクロス、ライズはどのグレードを選んでも同箇所は無塗装樹脂である。
ミドルクラスSUVまで格を上げれば、たとえばZR-Vは上位グレードを選べばボディ同色に塗装される。
同じくCX-5もグレードによってはピアノブラックまたはボディ同色に塗装される。
つまり、”ミドルクラスSUVですら上位グレードにのみ適用される無塗装樹脂部の塗装”がコンパクトクラスであるヴェゼルに採用されているということであり、これは大変な優位点であると考えている。
もちろん、樹脂の良さもあるし、塗装によるデメリットもあるにせよ、”質感”という点で見れば高いという他ないであろう。
理由③ 内装の質感
②と違って、こちらはまた主観的な意見となる。
ヴェゼルの内装の質感は、価格から見れば極めて高いと感じた。
ステアリングは両者ともに革巻きだし、メーター類もアナログ+デジタルという点で同等。
差を感じるのは、センタークラスター(エアコンその他ボタン類周辺)、センターコンソール周りである。
特にヴェゼルのエアコンダイヤルは大変に秀逸で、温度調整時のクリック感は大変に良く、さらには温度に合わせて点灯(温度を上げれば赤に、下げれば青に)する点も素晴らしい。
マイナーチェンジで今は変更となってしまったが、センターコンソール周りのメッキの使い方やコクピット感も良かった。
一方、それに比べてしまうとカローラクロスはやや見劣りしてしまう。
もちろん、カローラクロスの内装単体で見れば、そこまでひどい内装の質感だとは言えないし及第点ではあるのだが、”ヴェゼル”という比較対象が存在してしまうと、どうしてもその差は感じてしまうわけである。
理由④ シートアレンジ
アレンジと書いてはみたものの、早い話が”後席を倒したときに荷室がフラットになるか”ということである。
この点は双方で大きく異なる。
ヴェゼルに関してはほぼパーフェクトといっていいほどフラットになる。
車中泊は未経験に終わったが、横になっても全く違和感が無いほどだった。
このフラットさは、荷物積み込みの際にも大変役に立ち、長い荷物、重い荷物、大きい荷物等々形状に関わらず全く苦労しない。
一方でカローラクロスはというと、”わずかに”といえないほど十数センチほどしっかりと段差がある。
車中泊の時には真っすぐ足を伸ばして寝ることは難しいし、重い荷物をリアゲートから載せたときも奥に押し込みにくいと思われる。
フラットであることが全員において優位に働くわけではないが、少なくともフラットになることのデメリットはほぼ無いので、この点はヴェゼルが優れていると言っていいと思われる。
理由⑤ 標準装備が充実
ヴェゼルZグレードは、メーカーオプションがほぼいらないといっていいくらい、安全/快適装備が充実している。
特にカローラクロスに無いもので言えば、ステアリングヒーター、BSI(ブラインドスポットインフォメーション)、後退出庫サポートである。
もちろん、これらはカローラクロスにもオプションとして取り付けることは可能だが、ヴェゼルが標準装備である点はお得感は高い。
理由⑥ サンホワの色味
ボディカラーはホワイト系にしたいと決めていて、カローラクロスの場合はシンプルなホワイトを選択することとしていた。
一方で、ヴェゼルには、”プレミアムサンライトホワイトパール(サンホワ)”というカラーがある。
以下記事でまとめているように、この色味が他社にはなく、ホワイト系ではあるものの個性的で非常に魅力的であった。
当たり前ではあるがこのカラーはカローラクロスには無いので、この色味に惚れてしまったからにはヴェゼル選択の優位性が大きく上がるということになった。
カローラクロスが優位だと感じた点
一方で、カローラクロスが優れていたと感じた点もあるからこそ、私自身迷いに迷ったわけである。
本項ではそれらを簡単にまとめていく。
価格以上のボディサイズ
ヴェゼルより車両本体価格が10万円程高いとはいえ、ミドルクラスに迫るボディサイズは見た目の存在感もあり、立派なサイズである。
特にヴェゼルは、クーペのようなスタイルであり、全高が1590mmとカローラクロスと3cmしか変わらないものの、意外とその背の低さを感じる。
その点カローラクロスは、全高もしっかりと1600mm以上あるので、SUVらしい外観となっている。
本革(コンビ)シート
カローラクロスの最上位グレードであればシートが本革+ファブリックとなる。
ヴェゼルはというと、プライムスムース(合皮)とファブリックのコンビシートであり、質感という意味では本革には劣るとは思う。
一見、いずれも革xファブリックのコンビシートであり、優劣はつけにくいものの、やはり革を使っている点は評価できると思っている。
ただし本革は夏は暑く冬は寒い、そしてケアも必要というデメリットを有するので、一概にお勧めできるとは言い難いが、それでも”本革シート”というのは良い車の特徴の一つといえるから、その点ではカローラクロスが勝ると考えている。
燃費
大差は無いが、カローラクロスが26.4km/lで、ヴェゼルが25.3km/lとなっており、ごくわずかではあるが前者が勝る。
ただし特筆すべきは、カローラクロスの方がボディが大きいのに燃費が良い点である。
このボディサイズでこの燃費は大きな魅力であると考える。
※上記はいずれもハイブリッド、2WD。
乗り心地
これは好みとしか言えないが、個人的にヴェゼルはかなり固さを感じる。
一方で、カローラクロスはというと、個人的には柔らかい印象があった。
どちらの乗り味も一長一短であるが、個人的には柔らかい方が好印象であるから、この点はカローラクロスに軍配を上げたい。
後席居住性
この点は、人によってはヴェゼルが勝ると考えるかと思う。
そのくらい、ヴェゼルの後席の足元空間は広い。
それは間違いない。
ただし、ヴェゼルの場合は足元空間以外に若干の問題点がある。
まずは天井の低さ。
前述したようにヴェゼルは背が低いデザインである一方で、最低地上高はカローラクロスより高いから、その分後部座席の天井との間隔は狭い。
子供であれば問題はないが、特に高身長の方が乗ると、天井にぶつかるとまではいかないにしても、かなりぎりぎりとなってしまう印象がある。
次にアームレスト。
これはヴェゼルの悪い特徴の一つとして認識している人も多いだろうが、なぜかアームレストが途中で止まらず座席についてしまう。
はっきり言って、これだけで相当チープ感が出てしまうし、もちろん使い勝手も悪い。
なぜこのようなデザインにしたのか、、、
最後に窓の狭さを挙げておく。
ヴェゼルはクーペデザインであり、そのデザイン性の高さから、後部座席の窓はかなり小さい。
極端に狭いという印象は無いが、それでも到底広い、見晴らしが良いとは言えない。
以上から、カローラクロス優れているというより、ヴェゼルに問題が何点かあるという考えである。
ナビ取り付け不要
ヴェゼルは車両本体価格にナビ(ディスプレイ)は含まれておらず、メーカーオプションまたはディーラーオプションのナビを付けるか、あるいは社外でナビを付けることが必須となる。
メーカーオプションナビを例に挙げれば、価格は約22万円なので、車両本体価格が289万円と言えど一気に300万円を超える。
カローラクロスはというと、ディスプレイオーディオの選択肢がある。
ナビ機能が不要、あるいはcar play/android autoで事足りるのであれば、ディスプレイオーディオで必要十分であり、私の場合はそれを選択するつもりでいた。
その場合、ナビのモニタサイズを上げるオプションを付けたとしても3万円程だったので(2021年時点は9インチにアップするオプションあり)、オプション費用を大幅に抑えることができた。
オプションのパノラマルーフ
カローラクロスのメーカーオプションの一つにパノラマルーフがある。
このパノラマルーフがとにかく魅力的。
詳しくは以下記事にまとめているが、他車と比較してもガラス面積がとにかく広く、開放感はあらゆる車種の中でも粗糖に上位にあると思っている。
ヴェゼルの場合、Zグレード単体には付けられず、当時はPlaYグレードを選ぶ(現在はPLaYパッケージを選んで、そこから更にオプション)必要があった。
また、パノラマルーフ単体で比較しても、ヴェゼルはなぜかカバー取り外しが手動だし、カローラクロスと比較するとガラス面積は小さい。
カローラクロスの場合は11万円のオプションとなるが、その満足度やリセールを考えれば、非常にコスパが良いオプションであると思っている。
価格
車両本体価格はカローラクロスの方が高いが、実はオプション等々を考慮するとカローラクロスは安上がりとなっていた。
以下では、双方がほぼ同等の機能を有するようなオプション構成かつ、メーカーオプションのみをピックアップして計算していく。
まずヴェゼルだが、前述のようにナビ取り付けが必須ではあるものの、それ以外のいわゆる便利機能・快適装備はすでに標準装備されている。
唯一、マルチビュー機能をオプションとして追加する場合、ヴェゼルの場合は以下の価格となった。
車両本体価格:約289万円
ナビ:約22万円
マルチビュー:約12万円
合計 約323万円
次にカローラクロスの場合、ナビ機能は不要でディスプレイオーディオで事足りると考えていた。
ただし標準の7インチでは物足りないので9インチにアップするオプションを選択している。
また、ヴェゼルではステアリングヒーターが標準装備されているが、カローラクロスの場合は寒冷地仕様のオプションとなる。
加えて、ヴェゼル同様マルチビューもオプションとして選択する。
それらを付けた場合、以下の価格となる。
車両本体価格:約299万円
9インチディスプレイオーディオ:約2.8万円
寒冷地仕様:約4.4万円
マルチビュー(BSIのオプション含む):約7.2万円
合計 約313万円
以上の通り、カローラクロスの方が総額が10万円も安い。
また、これは環境によるだろうが、私の場合は値引きについてもカローラクロスの方が大きく、諸費用を含めた総額の価格差はさらに大きくなった。
もちろん、この構成の場合、カローラクロスはナビ機能が無いのでそういった差はあるものの、ナビ機能が不要だった私にとってはこういった構成で比較し、結果としてカローラクロスが安いことが分かった。
※あくまで私が比較した当時(2021年)の価格である。
総評
私がヴェゼル購入時に迷いに迷ったカローラクロスとの比較と、ヴェゼル購入の理由をまとめた。
総じて、ヴェゼルが圧倒的に優れているというわけではなく、欠点等も何点か見受けられるものの、そのデザイン性と内外装の質感が決め手となった。
前述の通りどちらも良い車種であり、カローラクロスにも魅力は多い。
今では数度のマイナーチェンジで両社とも価格が上がってしまったが、それでも比較対象にはなり得る車だと思うので、気になる方は試乗等を繰り返し、徹底的に比較することをお勧めする。