2021年に発売されたホンダ ヴェゼルが2024年3月にマイナーチェンジが発表され、4月より販売される。
本記事では、2021年にヴェゼルを購入し、その後売却はしたものの、いまだにヴェゼルに対し好意的な感情を持つ筆者が、マイナーチェンジ内容について感想を述べていく。
前提として、マイナーチェンジ前後の変更点については以下にまとめており、本記事ではその内容について言及していく。
外装について
私がヴェゼルを購入した決め手の大半が、その外装のデザインにある。
特に、賛否両論分かれるであろう同色グリルは、私にとって相当に良いポイントであり、当該車両のエクステリアを語る上で重要な箇所であると考えている。
そんなグリルが変更となり、どういった意図があるかは不明だが、個人的にはグリルの印象がわずかながら薄くなったと考えている。
そもそもヴェゼルを購入する層は、あのグリルが許容できるからその選択に至っているわけであり、そのポイントの存在感を薄くしてしまうのはいかがなものかと思ってしまう。
無論、マイナーチェンジ前がベストであると思うが、一方でどうせ変更するならあの中途半端な変更ではなく、もっと大々的に変えてほしかった。
リアデザインに関しては、マイナーチェンジ前後正直どちらでもよいが、豆級がLEDになったということで、これはマイナーチェンジ後の方が良いとは思う。
したがって、リアデザイン(LED)のみ変更して、フロントはそのままであればベストだったなと思う。
総じてみれば、私はマイナーチェンジ前の方が良いと考えている。
ただし”マイナーチェンジ後だったらいらない!”といったレベルではなく、どちらかといったらという程度ではあるが。
内装について
内装の大きな変更点、センタークラスター、センターコンソール周りについて述べる。
まずセンタークラスターであるが、若干の小物置きスペースが追加されたが、これは悪くないと思う。
そもそもヴェゼルはセンター周りに物を置くスペースがほとんどなく、広くは無いがこういった追加はユーザー目線を考えられていると感じる。
次にセンターコンソールに関して。
これは賛否両論あり、どちからといえば否定的な意見が多いように思う。
当初私はマイナーチェンジ後のデザインの方が好みであると感じていたが、ジャーナリスト等々の動画を見るうちに、やはりマイナーチェンジ前の方がいいのではと思い直すようになった。
マイナーチェンジ前のデザインは、(Zグレードであれば)該当箇所に大きくメッキが走りアクセントにもなり、そして高級感もあり、そしてそして運転席を囲むようなデザインでコックピット感もあった。
ちなみに当該箇所はディーラーオプションでライトに変更もでき、私もそれを検討していた。
※光り方が物足りず購入には至らなかった。
しかしながら一方で、私としては、センターコンソールは左右対称である方が好みであり、それに合致するのがマイナーチェンジ後のデザインであったことから、当初はマイナーチェンジ後デザインを推していた。
ただ、やはり左右対称のセンターコンソールにしては、個人的にボリュームが物足りないと思うようになってきた。
つまり、例を挙げればハリアーやCX-60等、ボリュームがあるセンターコンソールであれば左右対称(フロントに向かって直線に伸びるデザイン)の方が好みだが、ボリュームが無いのであれば非対称の、例えばコックピット感のあるようなデザインの方が良いと感じるということである。
したがって、本変更に関してはマイナーチェンジ前の方が好ましいと思っている。
話は変わり、細かいことではあるが、後席のアームレストが固定できないデザインは率先して解消してほしかった問題だが、マイナーチェンジ後でも同様ということで、こちらは大変に残念。
ボディカラーについて
以下記事でも書いたように、少なくとも私の周囲のディーラーでは、プラチナホワイトパールを選択する人が大多数であることから、カラー設定へのテコ入れは致し方が無いと考える。
今般廃止となったサンドカーキパール、メテオロイドグレーメタリック、ミッドナイトブルービームメタリックの3色であるが、見かける頻度を考えればたしかにこれらを選択する人は少ないようである。
定番カラーの白黒、プレミアムの2色を残しつつ、追加された3色を選択=一目でマイナーチェンジ後ということが分かるため、マイナーチェンジ前後での差別化も図れるといえる。
個人的には良い変更であると考えている。
グレード体系について
グレード体系の変更については、唯一ガソリンGグレードの肉が無くなってしまったのがマイナスポイントではあるが、それを除けば良い変更点が多い印象があり、具体的には以下が挙げられると考えている。
①PLaYパッケージの四駆追加
②PLaYパッケージでのサンルーフオプション化
③Xグレード専用のHuNTパッケージの追加
まず①については、待望と言っていいかと思う。
当初、PLaYグレードには二駆しかなかったため、四駆を欲する人々(雪国居住、アウトドア用途、等々)の中にはなくなく諦めた人も少なくなかったはずである。
事実、東北在住の私の知人でもPLaYを止めZグレード四駆にした人がいたほどである。
次に②についてだが、サンルーフはメリット・デメリットがあることから万人に受けるものではなく、オプション化は良い変更であると考える。
メリットは言わずもがなであるが、デメリットは例えば傷発生時のリスク、メンテナンス、車両重量の増加、天井空間の圧迫、そもそもの用途が限定的などが挙げられる。
私個人としては、サンルーフ賛成派ではあるが、これは正直自車で所有していたわけではなく、長年使ったことがないため、その魅力にだけ目を向けてしまっているだけなのかもしれないとも思う。
いずれにせよ、欲しい人は付ければいいし、いらない人は安くなるため、選択の幅は広がる。
※ただし、当該パッケージにおいてサンルーフ無し=マルチビューも無しとなることには注意が必要。
最後に③について、いわゆるハイブリッドの下位グレードのテコ入れにあたると考えている。
何度も書いているが、ヴェゼルは発売当初からZグレードに人気が集中しており、その理由は”コスパ”であると考えている。
そういった意味では、最も高いが設備充実、高級感満載のコスパの良いZグレード、勇逸のガソリンモデルで最も安価なGグレードといった特徴はあるが、Xグレードは”ハイブリッド”という一点のみの魅力であった。
そのXグレードにパッケージが登場したことで、特別感が増し、一気に魅力が増えたように思う。
これがZ/Gグレードでも選択可能なパッケージであれば残念だったが、Xグレード専用というのは、選択の余地が増え、良い意味でグレード選択に迷う要因となりえる。
価格について
さて、問題はここである。
まずは発売当初からの価格の推移(Zグレード/2駆)を見ていく。
①約288万円(2021年4月~)
②約300万円(2023年7月~)
③約320万円(2024年4月~)
私がヴェゼルを購入した理由の大半は外装にあると述べたが、他の理由の一つとして、そのコスパが挙げられる。
Zグレードにおいては、外装の高級感が抜群に高く(特にホイールアーチモールの塗装が素晴らしい)、内装も申し分ないうえ、機能面もとにかく充実していた。
シートヒーター、ステアリングヒーター、ハンズフリーリアゲート等々、多種多様の機能が標準装備されており、それが290万円を切るとは安いとさえ思えた。
当時、カローラクロスも相当コスパが良く、自身の中で競りに競ったが、結局のところ内外装の好みでヴェゼルを選択したという経緯がある。
しかし今の価格はどうだろうか。
同じZグレードにおいて、2023年の価格改定で約300万円、そしてマイナーチェンジ後ではさらに上がり、2024年4月時点では約320万円となり、私が購入した当初から比較すると、30万円以上の値上がりである。
無論、機能追加等々があるため、単純な値上げとは言えないが、それでも絶対的な価格として上がっているのは事実である。
ちなみに本価格はあくまで車両本体価格で、ナビは別料金となる。
メーカーオプションナビを付ければ価格は約340万円となり、諸費用を入れればこの時点で350-360万円程。
もちろん、ナビ以外のメーカーオプション、例えばマルチビューを加えるのであればここから約12万円が上乗せとなる。
加えて、マットやETC、ドラレコ等のディーラーオプションも入れていないし、メンテナンスパックも入れていない価格である。
現実的な価格としては、400万円はいかないにせよ360-380万円あたりになるのではないかと思う。
結論から述べれば、もしこの価格であれば、ヴェゼルを購入する選択する可能性はかなり低くなってしまうと思う。
なぜならば、ホンダ車で比較すれば、車格が上のZR-Vの最上位グレードZ/ハイブリッドが見えてくるためである。
当該グレードはナビとマルチビュー付きで車両本体価格が約400万円である。
もちろん、双方に400万円の壁はあるが、ヴェゼルとの価格差を考えればZR-Vの方がコスパが良いように思えてならない。
例えばトヨタ車のコンパクトSUVと比較しても、例えば前述のカローラクロスこそ325万円とヴェゼルより高いがそもそもボディサイズ、排気量、燃費はカロクロの方が上で、かつナビ機能は選択必須ではない(ディスプレイオーディオ選択可能、しかも12インチ)。
加えて、ヤリスクロスは300万円を大幅に下回る280万円である。
その価格差、約40万円。
たしかに内外装でやや目につく点が多いヤリスクロスではあるが、その燃費は極めて高く、(個人的には)乗り味もいいし、40万円の優位性がヴェゼルにあるかと言われると疑問は残る。
さらにさらに、実はミドルクラスSUVの場合、上位グレードはさすがに難しいとしても、エントリーグレードあるいは中間グレードであればRAV4やハリアー、CX-5も視野に入ってしまう。
この辺りはいずれまとめたいと思っているが、やはりヴェゼルのこの値上げは非常に大きな変更点であると考える。
総評
まず、過去の私なら、という点で考えてみる。
私の場合は、ヴェゼルの外観に惚れこんだのは当然あるが、それに加えて”ミドルクラスは高いから、コスパのいいヴェゼルを”という考えがあったことも事実であり、もし私が購入検討した当時にこの価格であればはっきり言って買っていない可能性が極めて高い。
もしそれでも買う前提で動くことを考えれば、おそらく車両本体だけ買って、社外ナビして安く抑えたかと思う。
その場合、320(車両本体)+20(諸費用/メンテナンスパック等々)+6(サンホワ)+3(マット)で約350万円
こんなイメージ。
ただこの買い方ではおそらく大きな値引きは期待できないし、10万円ほどと考えれば約340万円。
実際にはここからナビを付けるから、結局のところ350万円は超える価格となってしまい、そう思うとやっぱり高いと感じざるを得ない。
あるいは思い切ってPLaYにする選択肢もある。
Zグレード単体より値段は上がってしまうが、PLaYは個性が光り、サンルーフや特別仕様の内外装は相当に魅力がある。
以下記事のように、WR-V買うならヴェゼルでしょ、なんて意見を述べていたが、これはヴェゼルがマイナーチェンジ前の価格というのが前提であり、正直ここまで価格が上がるとは、、、というのが正直な感想。
そういった意味で、やはりハイブリッドグレードのもう一方、Xグレードの奮起が期待される。
Xグレードは、内外装の質感が落ちるが、それはあくまでZグレードと比較した場合であり、単体で見れば決して悪くは無い。
引き続きZグレードの人気は続くと思われるが、HuNTパッケージが登場したXグレードに個人的には注目している。